最も典型的な対義語である。「少し前」とか「やや遠い」といった段階的な過程がなく、一方を否定すると直ちに他方の意味になってしまう関係にある。また、一方の語の意味は必ず他方の語の否定の形で説明できる。このような対義語を特に対極語あるいは双極語ということがある。
空間的・時間的に基点に当たる語をはさんで、対称の位置で対立する関係である。例えば「過去」と「未来」は「現在」という基点をはさんで対立する。
2とよく似た関係で、基点を想定することができるが、基点に当たる語のないところが違う。例えば、「はじまる」と「おわる」はその途中経過が当然あるにもかかわらず、それを表す語はない。「もと」と「すえ」も同様で、中間があるのにそれを表す語はない。
一方の語を段階的に否定してゆくと、ある点で他方の語の意味に代わる関係である。
語の意味の上での対立関係はないが、対照的な関係にあると感じられる語である。例えば「国立」「公立」「私立」は意味的な対立はないが、それぞれが対比される関係にあるのでセットとして扱われる。このような対義語を特に対照語あるは対比語ということがある。
対義語として結ばれるものが、さまざまに変化しうるもの。
語と語の間の意味の対立は安定したものではなく、観点によって、さまざまな対立が生じてくることも少なくない。は「やま」を中心につぎつぎに浮かびあがってくる対義語の結びつきの様子を示したものであり、は「しろい」を中心に、または「たつ」を中心に展開される対義語の結びつきを示したものである。さらに、の「ゆく」をめぐる対義語の結びつきのように、複雑なものもある(左欄参照)。
対義語は、のように方向性の異なる、意味の対立軸によるもの、のように一対多の対立によるもの、あるいはのように複数の語のセット同士が対立しあうものなどがある。複雑なものではのように、広い意味をもつ語とせまい意味をもつ語とのセットが、互いに対立するものや、のように、大きな対立の中に、小さな対立を含むものなどもある(下欄参照)。