上品な語と俗な語の関係、書き言葉的なかたい感じの語と話し言葉的なくだけた語との関係、和語・漢語・外来語の関係などが含まれる。
意味がほぼ重なるものでも、語感・ニュアンスなどの主観的・情緒的な意味の面では、さまざまな違いをもつ。
「いえ」と「うち」は家屋の意味ではどちらも使えるが、身内・家庭の意味では「うち」が、家系・家柄や制度的な意味では「いえ」が使われる。「きれいだ」と「美しい」はどちらも美的感覚を表すが、清潔感には「きれいだ」を、精神的な美には「美しい」をという使い分けがある。
「聞く」は聴覚で受け取る意味を表すが、同時に質問する意味でも使われ「たずねる」と重なる。「たずねる」には訪問するの意味があり、「おとずれる」と重なる、というように連鎖的につながるものもある。
「よる(夜)」は普通、日没から夜明けまでをいい、「晩」は人が寝静まる頃までをいうので、「晩」は「よる」に包みこまれてしまう。
「うまい」は「上手だ」の意味で「彼は野球がうまい」などと言い、「おいしい」の意味で「このリンゴはうまい」などと言うことができる。これら「上手だ」「おいしい」の二語は、いずれも「うまい」の意味領域に包みこまれている関係にあるといえる。
この種の類語関係は、意味の広い抽象的な和語と、意味の狭い具象的な漢語との間に成り立つものが多い。
意味の区別が一応はあるが、互いに意味がきわめて近い語がある。これらの中には「いわ―いし―じゃり―すな」のように系列的ないしは段階的に、意味の差異が認められるものもある。
単語間の類義関係は前述の四種に分けられるが、実際にはこれらが重なり合いからみ合って複雑な類義関係を構成していることが多い。
たとえば「なく」は人・小鳥・犬・馬・虫などに広く使えるが、小鳥には「さえずる」、犬には「ほえる」、馬には「いななく」という語がある。これら「さえずる」「ほえる」「いななく」はどれも「なく」と複雑な類義関係にある。「かたい」「こわい」「おっかない」「おそろしい」などの関係も、互いに重なり合いながら類義関係を形づくっているといえる。
類義関係の型としては前述のいずれかに属するが、場面や職業・分野などによって特殊な類義関係を構成するものがある。
類義語は、年齢層の間で使い分けられていることがある。たとえば、「いいなずけ」とか「婚礼」といったことばは、若い人たちは、あまり使わないが、老人層ではまだ生きている(下欄の表参照)。「つりあい」「おくりもの」「機会」といったことばも若い人たちは、それぞれ「バランス」「プレゼント」「チャンス」などの外来語を使うことが多い。逆に「ピンポン」のように老人層に使われるものもある。